研究業績

設計工学,日本設計工学会 59, 1, 13 (2024)
EHD接触域の潤滑状態モニタリング(電気インピーダンス法の開発)

著者

丸山 泰右

カテゴリ

解説記事

Abstract

地球温暖化を背景として,転がり軸受には更なる低トルク化が求められている.ゆえに,転がり軸受に使用される潤滑剤の低粘度化や低油量化が避けられない状況となってきており,その結果としてEHD(elastohydrodynamic)接触域における油膜の破断が懸念されている.したがって,潤滑状態をモニタリングできる技術は,転がり軸受の更なる低トルク化と長寿命化を両立するために非常に重要な技術である.従来,潤滑状態を把握する技術として光干渉法(optical interferometry)が主に用いられてきたが,実際の軸受に適用することはできない. そこで本報では,EHD接触域における油膜の厚さと破断率を同時にモニタリングできる電気インピーダンス法(electrical impedance method)について解説した.本手法は電気的手法であるため,導電性材料で構成されている実際の軸受に適用可能である.EHD接触域に交流電圧を印加し,油膜が破断している領域を電気抵抗,二面間に油膜が存在する領域をコンデンサーと見なすことで,油膜厚さと油膜の破断率を理論的に導けることを示した.更に,本手法の測定精度について確認するため,ボールオンディスク型の要素試験機を用い,従来手法である光干渉法による油膜測定結果との比較を行った内容について示す.
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